自閉症の子どもに、絵カードを作ってあげる時、あなたは写真が多いですか? それともイラストが多いですか?
時々、絵カードの「写真とイラストのどちらが良いのか?」という議論を見かけます。それぞれ一長一短があるんですね。そんな議論のありがちな結論は、「あなたのお子さんに合った方を使いましょう」なことが多いです。結局どっちなんでしょうか?
私はこれまで、「写真とイラストのどちらでも良いので、あなたが早く作れる方で、作ってください。」と言ってきました。これも良くわからないかもしれませんね。
なので、写真とイラストの性質を解説します。
写真とイラストの違い
まあ、色々な違いがあるので、一つ一つ観点を絞って説明していきましょう。
子どもが認識するときの違い
子どもが見慣れている物ならば、写真の方が認識が早いです。最初の1回目からそれが意味するものを、子どもは認識します。
ただし、写真は誤認識する可能性があります。写真は背景まで写っていますよね。自閉症の子どもがその写真を最初に見た時、真ん中にある物ではなく、背景に写っている他の物に興味や注目がいく場合があります。
同じ絵カードを何度も使っていると、写真であれイラストであれ、子どもは正しく(私たちの意図通りに)認識するようになります。私が「写真でもイラストでもどっちでも良い」と言うのは、これが理由です。
親や支援者が使うときの気持ちの違い
この違いは何を絵カードにしようとしているかで違ってきます。また、個人差も大きいと思います。
- 自宅にある物を写真に撮ると、みすぼらしいから使いたくない。
- このイラストは、私の趣味に合わない。
- その他
親や支援者の気が乗らない写真やイラストは、作るが気が進まないですよね。実際に子どもに使うときも、なんかぎこちなくなってしまいそうですよね。意外とこの気持ちのために、絵カード作りが進まない方が多いのではないでしょうか?
素材の入手のしやすさ
これも、何を絵カードにしようとしているかで違ってきます。写真の方が入手しやすい場合もあれば、イラストの方が入手しやすい場合もあると思います。
子どもに合わせるべきか、とにかく作るべきか
子どもに合った絵カードを作る方が良いと思われがちです。
しかし、選り好みをして、絵カードが作れないようでは、本末転倒。少々、子どもに合っていなくても、使う方の気が乗らなくても、その絵カードを使っていくと、その絵カードはちゃんと機能するようになります。
絵カードがあるのと無いのとでは、雲泥の差ですよ。
実際はどちらが、子どもに合っているのか?
専門家は「絵カードは子どもに合わせてください」と言うことが多いです。写真とイラストの性質の違いを教えてくれる時もあります。
なぜ、絵カードを作る前に、写真とイラストの性質の違いを考慮して、「子どもに合う方を」と言っていたのでしょうか?
思うに、絵カード作りの手間が大きかったからです。絵カード作りは大変な作業なので、作ってみたら子どもに合わなかったと言う状況を避けたかったのだと思います。
そのお子さんには、写真とイラストのどっちの絵カードが合っているのでしょうか? どうやって知るのでしょうか? どうやって確かめるのでしょうか?
早い話、写真の絵カードとイラストの絵カードの両方を作ってみれば良いのです。両方を試してみて、子どもが上手く使える方、お母さんや支援者が気持ちがいい方を選べば良いと思いませんか?
もしも、絵カードが簡単に作れるならば、両方試すことも可能です。
当サイト「絵カードセンター」を使えば、簡単に絵カードが作れます。
まとめ
- 絵カードの写真とイラストには一長一短がありますが、その絵カードを何度も使っていると、子どもへの効果の違いは殆どありません。
- 目の前に絵カードがあるのとないのとでは、支援が全く違ってきます。まずは、あなたの手間の少ない方法で、素材集めと絵カード作成をしましょう。
- それでも、写真とイラストの違いが気になる方は、両方作ってみて、実際に使って比べてみてください。
ご意見、ご感想をお待ちします。
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